1.運命ってのはどうにも悪趣味で、厄介で

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「今日混んでるわねー」 「ですね」  わずかに黄色になり始めた銀杏が見える、学食の一番奥。  引き摺ったらうるさそうな薄クリーム色の2人掛けテーブルに、ほぼ同時にトレーを置いた。 「あと半月で中間テストですよね。まだ日程発表されてませんけど」 「去年と同じなら文化の日前後でやるわね」 「うう、気が重いぜ……」  スプーンを置いて大げさに頭を抱え、茶色のショートを振り乱して悶える和桜(かずさ)に、思わず吹き出しそうになる。 「ふーさんは受験勉強まっしぐらって感じですか?」 「まあ国立狙ってるからね、塾で過去問地獄って感じ」 「でも受かればハッピーなキャンパスライフですもんね! いいなあ、アタシも今のうちから頑張らなきゃ!」  器に入らないようにロングの黒髪を後ろに払い、鶏唐揚げのみぞれ煮を食べながら、箸休めに彼女の百面相を楽しんでいた。  私、花塚(はなつか)文葉(ふみは)と、目の前で先生のプリントが見にくいと文句を言っている白沢(しろさわ)和桜(かずさ)の出会いは1年半前。お手軽キャンプをやる部活に後輩として入ってきた。  キャンプに詳しかった先輩が卒業するってことで3月末で解散になったけど、彼女とは今でも大の仲良し。  受験の2文字がのしかかり、放課後に2人でファミレスに入る時間も徐々に減っているので、昼休みはたまに、こうして学食に集まっておしゃべりタイムを取っていた。
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