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「今日混んでるわねー」
「ですね」
わずかに黄色になり始めた銀杏が見える、学食の一番奥。
引き摺ったらうるさそうな薄クリーム色の2人掛けテーブルに、ほぼ同時にトレーを置いた。
「あと半月で中間テストですよね。まだ日程発表されてませんけど」
「去年と同じなら文化の日前後でやるわね」
「うう、気が重いぜ……」
スプーンを置いて大げさに頭を抱え、茶色のショートを振り乱して悶える和桜に、思わず吹き出しそうになる。
「ふーさんは受験勉強まっしぐらって感じですか?」
「まあ国立狙ってるからね、塾で過去問地獄って感じ」
「でも受かればハッピーなキャンパスライフですもんね! いいなあ、アタシも今のうちから頑張らなきゃ!」
器に入らないようにロングの黒髪を後ろに払い、鶏唐揚げのみぞれ煮を食べながら、箸休めに彼女の百面相を楽しんでいた。
私、花塚文葉と、目の前で先生のプリントが見にくいと文句を言っている白沢和桜の出会いは1年半前。お手軽キャンプをやる部活に後輩として入ってきた。
キャンプに詳しかった先輩が卒業するってことで3月末で解散になったけど、彼女とは今でも大の仲良し。
受験の2文字がのしかかり、放課後に2人でファミレスに入る時間も徐々に減っているので、昼休みはたまに、こうして学食に集まっておしゃべりタイムを取っていた。
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