1.運命ってのはどうにも悪趣味で、厄介で

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*** 「ごちそうさま」  タイミング悪く夕飯も唐揚げだった。2食連続の鶏肉を食べ終え、俯きながら階段を上がり、自分の部屋へ。 「ふう」  倒れ込むようにベッドに突っ伏す。  脳内を巡るのは、帰り道からずっと考えていた、あの子のこと。  中学のときから「男子しかありえない」というタイプではなかったから、彼女を好きになった自分自身に驚くことはなかった。  襲ってくるのは、中学から変わらない、恐怖。  バカにされたらどうしよう、そして、拒絶されたらどうしよう。 『女子 同性 好き』  スマホを叩き、何十回と見た検索結果からサイトを覗く。『変なことではありません』『まずはそんな自分を受け入れること』という通り一遍の解説と、質問箱への励ましの回答。  言うべきか黙っていた方がいいのか、毎日毎日悩んで、辛くて、心が沈んでいる学生への処方箋なんて一つも載ってない、表層の馴れ合い。
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