分岐点

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 人間の体と体がぶつかって、骨が砕ける嫌な音がして、俺はその場にあおむけに倒れた。後頭部から流れ出た血と頭の中身がアスファルトを赤く染めていく。男子生徒はというと、俺の上にうつぶせに倒れたまま、数分間ピクリともしなかった。そして、マンションから飛び降りてから俺にぶつかるまでの映像を早戻しするかのように、空中に浮かびながらマンションの屋上へと戻って行った。  俺は、立ち上がって上空を睨みつけながら、 「……これで、何度目だよ」  チッ、と舌打ちをした。 俺も少年も、実はとっくの昔に死んでいる。十階建てマンションの屋上から飛び降りた人間とぶつかって、生きていたら奇跡だ。確か、死んでから三ヶ月ほど経ったか。自殺者が出たマンションは気持ちが悪くて人気がないらしく、ごまかすためにマンションの名前は変わり、塗装も薄茶色から灰色に塗り替えられた。最初の頃は、マンション住民やら俺や少年の家族や友人やらが俺らが亡くなった場所で花や菓子を持って泣き崩れる姿が見られたものだが、今は来る人数は半分以下になっている。
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