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そうこうしているうちに、また俺の頭上からヤツが降ってきた。ものすごい力で、地面に倒される俺。ヤツが電池切れのオモチャみたいに俺に覆いかぶさって動かない間に、俺は両手足を使ってヤツに抱き付くと、そのまま横に転がってひっくり返し、少年に馬乗りになった。
「……っ、な、何ですか、あなたは!」
我に返ったようで、どこか遠いところを見ているようだった目が、黒縁眼鏡越しに俺をにらみつけた。
「『何ですか』は、こっちのセリフだよバカ野郎。お前、最期に自分が何やったか覚えてないのか?」
グッと相手の制服の胸倉を掴みながら、俺は怒鳴る。
「えっと……、僕は学校に行きたくなくて、屋上に上がって……、それから、それから……、飛び降りて……」
そこから、記憶はないらしい。飛び降りてから地面にぶつかるまでの間に意識を失っていたようだ。俺はカッとなって、大声で高校生が三か月前に死んでいること、自分はその巻き添えになって死んだことを説明した。高校生はそれを聞いて、ニヤリと笑った。
「ああ、僕、死ねたんですね。よかった」
「よかった?」
ほっ、と息を吐く高校生に、俺は問う。
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