分岐点

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「そうですよ、お兄さん。僕はね、同じ学校のヤンキーからいじめられていたんです。親の財布から金をとってこいだとか、万引きしろだとか、サンドバッグになれだとか。僕、もうそんなのうんざりだったんです。そのときは、親に心配かけたくなくて無理に学校行ってましたけど、正直もう限界で。二学期の始業式だったあの日、学校に行くふりをして、あらかじめ鍵を壊しておいた屋上に行って、そこから飛び降りたってわけです。――でも、人を巻き込むつもりは無かったんで、お兄さんには申し訳ないと思ってますけど」  本当に申し訳ない、と思っているんだったら俺を生き返らせてくれよ。そう言いたかったが、どう考えても無理なので俺はコイツを睨みつけるだけにしておいた。 「でも、死ねてよかったです、本当に……。両親はすごく悲しんだでしょうし、お兄さんも巻き込んでしまったけど……。あれからずっといじめられる人生が続いたと思うと、本当にゾッとします」  俺の見ている前で、高校生の姿が少しずつ透明になりつつあった。その体は黄色い光の粒子になって青空へと昇っていく。 「え? お前、体がなんか透け……」
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