分岐点

7/7
前へ
/7ページ
次へ
 俺が急いで男子高校生の体の上から退くと、男子高校生は透明になった自分の手のひら越しに空を見ながら、 「これが、成仏するってことなんですかね? 頭も体も何だかフワフワしてきたし、僕、もうここにいられないみたいです。お兄さん、巻き込んで本当にすいませんでした。そしてさようなら……」  ふっと微笑んだ顔も光の粒子となって、アスファルトの上には何もなくなってしまった。  俺は息を思いっきり吸い込んで、空に向かって叫ぶ。 「ふざけんな!! てめぇだけ先に成仏してんじゃねぇーーーーっ!! 俺は、俺は一体どうしたらいいんだ!!」  誰にも聞こえない俺の叫び声は、誰もいないマンションの駐車場に虚しく響いた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加