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俺が急いで男子高校生の体の上から退くと、男子高校生は透明になった自分の手のひら越しに空を見ながら、
「これが、成仏するってことなんですかね? 頭も体も何だかフワフワしてきたし、僕、もうここにいられないみたいです。お兄さん、巻き込んで本当にすいませんでした。そしてさようなら……」
ふっと微笑んだ顔も光の粒子となって、アスファルトの上には何もなくなってしまった。
俺は息を思いっきり吸い込んで、空に向かって叫ぶ。
「ふざけんな!! てめぇだけ先に成仏してんじゃねぇーーーーっ!! 俺は、俺は一体どうしたらいいんだ!!」
誰にも聞こえない俺の叫び声は、誰もいないマンションの駐車場に虚しく響いた。
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