「あと5分」

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――遥斗は、ぼんやりとした頭で周囲を見回した。 自分の部屋の真ん中に遥斗は立っていた。そして、これは夢かとすぐに気がつく。 遥斗は、自分の意思とは無関係にリビングへ向かった。夢だと気がついていても思ったように体が動いてくれるわけではない。 そこには誰もいなかった。そのまま夢の中の遥斗は外に出た。 音一つ聞こえない。少し奇妙に感じたが、夢だしなと納得した。 遥斗は学校の方に向かって歩き出した。歩けども歩けども、誰ともすれ違わない。 この夢の中のよく見知った町には遥斗一人しかいないようだ。 夢だとわかっていても、誰一人いない町は薄気味悪い。これから、憂うつなテストだというのに、さらに憂うつになるような夢を見てしまって、運が悪いと遥斗は思った。 二度寝しない方がよかったか?いやでも、あの時点で、睡魔に勝てたかと言われたらとても無理な話だ。 夢の中で誰もいない町を歩き回りつつ、遥斗はそんなことをうだうだと考えていた――
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