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「……ずいぶんとひ弱そうだな、貴様。戦えるのか?」
聞いただけで鼓動が速くなる。顔が熱くなって、鏡を見なくても紅潮していくのがわかる。それほど彼の声はイケボであった。
そしてその声に見合う漆黒の王が姿を現す。
長身に黒く艶やかな髪がたなびく。
色白な肌に切れ長の瞳。血色の悪い唇は一文字に結ばれている。
魔王を冠するにふさわしい角が、両耳の上から天に向かって湾曲を描いている。
冷たい表情なのに、顔のパーツひとつひとつがとても整っていて、それが彼女の表情をうっとりとさせていた。
「ちょ……」
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