第十三夜  勝手口

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第十三夜  勝手口

これは、筆者が小学生の時に姉が体験したお話です。 夏休みの時でした。 姉が一人で一階でテレビを見ていた時の事です。 時間はお昼頃でした。 テレビに夢中になっていた時、ふと寒気がしました。 夏なのでクーラーはつけていましたが、背中だけが一瞬ヒンヤリしました。 少し気になりましたが、一瞬の事だったのでその時はあまり考えず、 またテレビに夢中になりました。 少し時間がたった時、また背中だけが一瞬冷たさを感じました。 振り返っても扉が開いたりしている訳でもなく、 (変だなぁ?) と思いました。 夏休みで当時はテレビで怖い話もよくやっていて、色々と思い出し 少し怖くなりました。 テレビに集中していた時でした。 明らかに後ろを誰かが通った感じがして、振り返りましたが当然そこには 誰もいませんでした。 段々と怖さが増してきた次の瞬間、 勝手口の方から冷たい風が、すーーっと流れてきました。 (えっ!?向こうから?なんだろう?) そう思い、恐る恐る勝手口の方に向かいましたが扉も開いておらず、」 「おかしいなぁー。」 と思った瞬間、 「カッ・・・チャ・・・カッ・・・チャ」 とゆっくりと勝手口のドアノブが上下に動き出しました。 外に誰かがいればガラス越しに影が映るのですが、その様子もなく 怖くなった姉はすぐにリビングに戻りました。 「怖い怖い怖い怖い!」 怯えていた次の瞬間、 「うぅー・・・う~~。うぅー・・・。」 女性の小さなすすり泣く声が聞こえました。 それは少し長い間聞こえ、その間は動けず固まってしまいました。 そして我に返りリビングの電話に手をかけ、母に急いで電話を掛けました。 「もしもし?」 「もしもし!?お母さん!早く帰ってきて!変な声がするの!」 「お母さん仕事だからまだ帰れないの!多分〇〇(兄)が出かけて なければ部屋にいるから」 「そうなの!?・・・わかった!!」 そういって電話を切り、部屋の扉を開け、 「〇〇(兄)!!」 すると二階の扉が開き、兄が下の階に降りてきました。 「なんだよ。うるせーな。」 「今勝手口の方から・・・だめ!そっち行かない方が・・・。」 「だから何がだよ!」 そういって兄は何事も無かった様に、台所へ向かっていきました。 姉はあの時起こった事が何だったのか、未だにわからないままです。 終わり。
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