第十四夜  押入れ

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第十四夜  押入れ

これは筆者がまだ幼いころ、幼馴染みの家で起きた話です。 両親がよく兄や幼い私を連れて幼馴染みの家に遊びに行ったり、逆に遊びに来たりしていました。 季節はセミの鳴き声がうるさい夏でした。 リビングで母と幼馴染みの親が話していた時の事でした。 幼馴染みの子供が突然リビングにやってきて、 「〇〇(兄)が何かやってるよー?」 「どこでなにしてるのー?」 と母が聞くと、 「押入れのまえでね、〇〇がね、みーつけた、みーつけたって言ってるー。誰もいないのにねぇー」 母は気になりそこの所まで連れて行ってもらいました。 そこには、確かに押入れに向かってみーつけたと呼ぶ兄の姿があったそうです。 「〇〇なにしてるのこんな所で。誰がいたの?」 「お姉ちゃんがいるー。一緒にかくれんぼしてるの。」 と答えた。 母が幼馴染みの子供に向かって、 「何して遊んでたの?」 と聞くと、2人でかくれんぼをしていたそうです。 それを聞くなり母は、 「ダメよ。2人だけでかくれんぼをしちゃ。ほら〇〇も戻るよ。」 そう言って〇〇の手を引きリビングに戻って行きました。 幼馴染みの親が、 「どうしたのー?」 と聞くと母は、 「2人だけでかくれんぼをしてたみたいで、やめさせたのよ。2人だけでかくれんぼって良くないって聞くから。」 母に霊感がある事を知っている幼馴染みの親もそれを聞くなり納得したらしいです。 そして帰る時間になり、 「今日はお邪魔しましたー。」 「また遊びにおいで~。」 そう言って玄関を出る際に母は見たそうです。 玄関から見える押し入れから、両腕は血まみれで床に落ち、口を開けてこちらを見つめる真っ青な顔をした男の子がこちらをずっと見つめていたそうです。 終わり。
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