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第五夜 大きな女
これは筆者が高校生の時の話です。
通学する時に利用する最寄りの駅はお婆ちゃんの家の近くにあり、よく学校の帰りにそのまま遊びに行くことがありました。
そこには自分の家にはないパソコンがあるので、よくインターネットをやりに行って遊んでいました。
そんなおばあちゃんの家に一つだけ約束を守らなければいけない事がありました。
それは、二階の奥の寝室には行ってはいけないという事でした。
特に行く用事もなく、困る事もなかったので気にしていませんでした。
ただ、パソコンを使う部屋も二階だった為少し怖い感じではありましたが、
「まぁ、奥に行かなければいいや」
と言うくらいにしか思っていませんでした。
そんなある日、いつもの様にパソコンをやりに、おばあちゃんの家に行きました。
その時はおばあちゃんも畑に行っていた為、家の中は自分1人でした。
二階に上がりパソコンの部屋に入ろうとした時に、別の部屋から
「うぅ・・・、うぅー・・・。」
と機械の様な、人の声とも取れる様な音がしました。
気になったので音を探る様に廊下を歩いて行きました。
辿り着いた先は奥の寝室でした。
おばあちゃんの約束を思い出し、絶対に見たらマズイと思い背筋が凍りつきその場で立ち止まってしまいました。
すると音の様な声の様なものが少しずつ大きくなり、そしてピタリと止まりました。
「えっ!?」と思った瞬間
寝室の扉がゆっくりと開き・・・・。
そこにいたのは寝室の奥、ベッドに真っ白な顔で顎を乗せてニッコリと笑う女がいて、その女は立ち上がり200センチ以上はある身長で、黒のワンピースを着ていました。
その女は僕の方に指を指しひたすら肩を揺らしながら笑っていました。
僕はすぐさま家を飛び出し、おばあちゃんが畑から帰る前に急ぎ足で自分の家に帰りました。
この話は、家族の誰にもしていません。
あの女の人は一体誰だったのでしょう。
あの家は建ててあった古い家を買ったので、もしかしたら以前にあの家で何かあったのかもしれませんが、全て不明です。
第五夜 終わり。
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