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小さく絞った音量で、アシャンティのハスキーで柔らかな歌声が車内に流れる。
開け放った窓からは、随分涼しくなった風が入り込んだ。
紗有美の髪がリズムと風に合わせて、ふわりと揺れた。
「水族館って、久しぶりに来た。」
曲のフェードアウトに合わせて、紗有美は嬉しそうに言った。
郊外にある水族館は、平面に取られた広大な駐車場を備えていた。
所々に木々が植えられている。
木陰になるスペースを見つけ、車を停めた。
エンジンを止めながら、ルームミラーでちらりと紗有美を見た。
髪の隙間から見える、右耳に光る金のピアス。
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