エンドレス サマー

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涼しげなガラス張りの水族館の入り口には、子どもに好まれそうな動物達のパネルが飾られていた。 イルカのそれから顔を突き出した女の子が、カメラに笑顔を向けている。 鮮やかな風船を配るスタッフが数人いるので、何かイベントがあるのだろう。 混雑した入場券売機で券を買い求め入り口を抜ける。 ふっと、暗闇と冷涼に包まれた私と紗有美は、階下に繋がるエスカレーターに乗った。 エスカレーターのすぐ横にも、水槽が嵌め込まれ、小さな熱帯魚が迎えてくれた。 色とりどりな原色の魚達の羽衣が、ひらりひらりと水中を漂う。 紗有美が、こつんと水槽を指で叩き、魚達を驚かせる。 エスカレーターを降りると、瑠璃紺と漆黒の世界が広がっていた。 館内は人が多いにも関わらず、冷気に満ち、人の声もどこか遠くに聞こえる。 目の前には、『海底の生き物たち』と書かれたプレートが貼り出され、大小様々な水槽が並んでいた。
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