左足のホクロ

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「………急にどうしたの?」 多分、その時の私は、情けない顔をしていたと思う。 急に、たった10センチの距離が遠くなって、裸の背中を見せている緋水に指を近付けた。 「………自由なんだよ、翠は。」 指が途中で止まる。 緋水はこっちを見ない。 窓から差し込むカーテン越しの月光に、緋水の輪郭が照らしだされる。 「………自由?」 「前から言ってるでしょ。彼氏作っていいんだよって。」 「私は緋水と付き合っ」 「ごめん、」 言葉を遮られて驚いた私に、さらに追い打ちをかけるように緋水は続けた。
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