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「……翠?」
相変わらず綺麗な緋水は、私を見た途端、大きな瞳を歪めて涙を流した。
「み、どり……」
でも子供のように泣きじゃくりながら、私の名前を呼んだ。
「翠、翠、翠っ………」
「…緋水、」
私は一度だけ、短く呟いて。
手を伸ばして。
あの夜、触れられなかった緋水に触れた。
「んっ、あっ……」
緋水の指が、私の中に長く眠っていた感覚を呼び覚ましていく。
左足のホクロに触れられる度、私は緋水の背中に爪を立てた。
「ひ、すいっ…」
耳朶を甘く噛まれ、輪郭を舐められる。
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