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「翠…」
擦れた声と切なげな吐息が耳元に囁かれ、優しいキスに唇を包まれた。
「ん…ふっ…」
何度も角度を変えながら強く唇を結び合わせ、私は緋水の―あの夜、触れられなかった―背中に手を這わせた。
綺麗な背中がしっとりと汗ばみ、熱を持ち、呼吸の度に上下をする。
ゆっくり唇を離し、目を開け、涙の名残が僅かに残る緋水の瞳を見つめた。
「……ねぇ、緋水」
そっと名前を呼ぶ。
「……なぁに、」
緋水が首を傾げる。
私は緋水の二の腕を引き寄せ、再び唇を合わせた。
「答えて?」
「………ん?」
舌を出し、緋水の唇を舐める。
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