左足のホクロ

16/18
前へ
/120ページ
次へ
「……もう一度、真剣に愛してくれる?ううん、私も真剣に愛してもいい?」 涙が零れた。 私からも、緋水からも。 瞬きの度に、透明な雫が落ちる。 私は緋水を抱き寄せ、その涙を絡め取った。 静かに嗚咽を漏らす、緋水の温かい息が私の耳元にかかる。 「………真剣に、」 震える声で、緋水は応えた。 「真剣に愛すから……」 上半身を起こした緋水が私を見つめた。 「もう、離さない。」 そして、私と緋水は翌朝まで躰を重ね合い、疲れ果てた頃に眠りに落ちた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1104人が本棚に入れています
本棚に追加