1104人が本棚に入れています
本棚に追加
ふたりで、ベッドに潜り込み、くすくすと笑い合う。
ひとしきり笑い合い、互いを見つめ合った。
すると、緋水がゆっくり起き上がり、ベッドサイドの棚から赤い封筒を取り出した。
「これ。」
差し出された封筒を受け取り、緋水に包まれるように座った私は、その封を切った。
中には、一枚だけ、便箋が入っていた。
そして、一言だけ、書いてあった。
「ずっと、一緒にいよう。」
―それだけで。
たったその一言で、懐かしい筆跡で。
涙が溢れた。
私は帰ってきた。
あの日手放した、この温かさを感じられる、この場所に。
指で涙を拭いながら、私は緋水を見上げた。
「返事、届けるね。」
最初のコメントを投稿しよう!