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ミチル。 まだ、その名前を思い出すと、亜紀の知らない、私しか知らない心の一部がちくっと暴れる。 ミチルはこの空の下、幸せなんだろうか…。 不意にチャイムが鳴った。 「ほら、亜紀、教室行くよ。」 「はーい、あっ!」 手早くお弁当箱を片付けながら、亜紀が言った。 「李華さん、今日映画見に行きませんか?」 「映画?」 「はい、雑誌で応募してた招待チケット当たったんです。」 「いいよ、」 「本当ですか!じゃあ、学校終わったら、駅で待ち合わせしましょう。」 「ん。」 心底嬉しそうな顔をした亜紀は、手をつないできた。
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