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「………変わったね、ミチル。」 どうしても顔を上げないミチルから目を逸らし、窓の外を見た。 帰路につく人々が大きなうねりとなり、動いていく。 傾く夕日が、街を橙色に染め上げる。 気付けば、空のアイスコーヒーのストローを歯で弄んでいた。 「ね、ミチル、」 ストローを噛みながら、窓の外を見たまま呟く。 「…何かあった?」 瞬きをしてから視線を変える。 ミチルは俯いたまま、一向に減らないカフェラテを見ていた。 「私はさ、確かにミチルと離れたけど、ミチルを今でも大切な人だって思ってる。」
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