その男の子の忠告と私の時間

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せっかく気分が良かったのに、あのポスターのせいで台無しだった。 2コマ目が空きコマの私は加奈と別れ、再びポスターの前に立つ。 告知ポスターの写真さえちゃんと撮れていれば、もう見ることなんてなかったのに。 嫌でも視界に入るその男の子は、ただでさえ小憎たらしい表情な上に『時間管理ができないの?』という吹き出しが出ていることで、さらに苛立ちが増す。 「できてるし。ちょっと遅れることが多いだけだし」 すぐにでも予約しようと思っていたチケットを取る気にもなれず、近くのベンチに腰かけた。 「加奈もちょっと言いすぎじゃない?」 加奈に言われた直後はびっくりして何も言えなかったけれど、声に出すと本当にそんな気がした。こんなの受けて来いとか失礼すぎる。 ベンチに座っているのに落ち着かない。 周りの話し声がいちいち癇に障る。 こんな日は寝るに限ると、私は重い腰を上げた。
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