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ベリアルは憎い。
それはもう殺したいくらいに。
だが、感情的になればユキを失ってしまったあの日のように誰かが死んでしまう。それは嫌だ。
今俺の隣でぐっすり眠っているアリスや、優しくしてくれた悪魔達に迷惑をかける事は出来ない。
『僕に会いたいのなら勉強すること。 知識はどれほどあっても困らない! そして、特に大事なのは感情的にならず、冷静に頭を働かせる事だよ!』
・・・・・・メフィストの言う通りだな。
とりあえず、冷静に考えろ。
ベリアルの書庫にあった本の中に悪魔を殺す事ができる方法が書いてあったはずだ。 確か祓魔師が読む本だったか? アレを読みに行けば良いな。
だがユキを殺した奴を前にして俺は冷静に自我を保っていられるかどうか分からない。
「ん・・・・・・クロ、眠れないのか?」
俺が少し動いたせいで起きたのかアリスが赤色の瞳を薄く開けながら、小さな声で聞いてきた。
「少し考え事をしてたんだ」
「なんの?」
「子供にはまだ早い」
そう言ってやればアリスは不満げに頬を膨らませながら胸を叩いてきて、俺は苦笑いを浮かべ眠たそうにしているその瞼にそっと軽くキスをした。
胸辺りに抱き着いてくる、小さく、でも、温かな存在に、なんともいえない気持ちになった。
10歳ならちょうどユキと同じくらいだな・・・・・・。
俺を慕ってくれる小さな存在。
俺を怖がらない不思議な存在。
「安心しろ、今度こそ俺が守ってやる」
──例えどんな事をしても。
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