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昨夜はマルコに帰ってもらい、ひたすらに自分の優しい所を考えてみたが全く分からなかった。
・・・・・・優しい所なんてないんだから当然だが。
溜息をつきながら赤い川の近くを歩いていれば川辺に誰か居るのが見えて、俺はなんとなく気になってその人物の傍に近寄った。
「こんな所で何をボーッとしてるんだ?」
「っ!? だ、誰だ!?!?」
気配に気付いていなかったのか、やけに身なりの良い悪魔は俺を見るなり服で目元を拭っていた。
あー・・・・・・またまた、タイミングが悪かったな。
「・・・・・・貴様には関係ない」
「ああ、そうだな。 悪かったよ」
そう言って帰ろうとしたが、なんとなく気になり振り返った。 そして数秒後に後悔してしまう。
悪魔は顔を両手で覆い、声を出さずに肩を細かく震わせて静かに泣いていた。自分が泣いているという事を、誰にも気取られたくないという様子で。
それを見ていると何だか妙な気分になって、俺は溜息をついてから地獄の街に戻った。
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