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まさか本当に食べ物を持ってくるなんて思ってはいなかったので驚いた。しばらく固まっていれば一人の悪魔が金に輝くリンゴを差し出してきた。
「それは『神界』にある神の食べ物でして!人間の貴方様でも美味しく頂けます!」
そんな物を俺なんかにやって良いのだろうかと思い、俺はしばらく悩んだ後で口を開いた。
「ありがとう。なら皆で食べないか?俺はあんまり食欲はないし・・・・・・それにお前達は痩せてるようだからな、沢山食べて筋肉をつけないとだろ?」
すると俺の言葉を聞いて悪魔が喜びの声を上げた。
「おお!ならば今宵はパーティにしよう!」
「それが良い、早速準備をするぞ!」
と、意気揚々と、俺を囲んでいた悪魔達は俺から離れていく。なんか思っていた悪魔と違うな。
俺が想像していた悪魔は、人間嫌いで、暴力的で話を聞かないような奴らだと思っていた。
でもコイツらは全然違う。
『お前なんか死ねば良いんだ、人殺し!』
俺を罵らず、馬鹿にしない。
現代の人間なんかより、よっぽど人間らしくて、よっぽど礼儀正しく面白い良い奴らだ。
あと人間に偏見や差別なんか全くないようだから一緒に居て楽だ、本当にここは最高だな。
そうして俺が心底安堵していたその時、悪魔達は何やら話している最中だったようで俺に苦笑いを返すと、奥に隠れてコソコソと話している。
俺はそれがなんだか、微笑ましいというか、人間らしい挙動だったので思わず笑みを零した。
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