第11章 新しい出会い

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それから一週間。 俺は名前も知らない我儘な悪魔に言われるがまま赤い川(レッド・リバー)に来ては適当に話をしていた。 初めは一日だけ来てやるつもりだったんだ帰り際寂しそうに「また来るよな?」と言われてしまえば断れるはずもなく、ズルズルと来てしまってる。 本当はベリアルを殺す作戦を考えないといけないというのに何を呑気にしているんだ、俺は。 「・・・・・・貴様、最近寝ていないだろう」 「は? 別に関係ないだろ」 そう言って、俺はハッと我に返った。 いくら疲れていたからといって心配をしてくれた相手に対して冷たく返すなんてどうかしている。 「それはそうだが、なんというか貴様がそんな風に疲れた顔をするのは気に食わない。 明日は来なくても良いから休んでおけ、疲労は身体に毒だ」 「・・・・・・心配してくれる気持ちは嬉しいが俺が来なかったら寂しく泣くつもりだろ? それは嫌だな」 「なっ!? 人が厚意で言ってやったのに、何で、そう腹立つ事を言うんだ! これだから人間の男は!!」 「悪い悪い、拗ねんなって」 「拗ねてもいない!!」 ・・・・・・ダメだ、コイツで遊ぶのが楽しすぎる。 眉間に皺を寄せながらぎゃんぎゃんと犬のように吠えている悪魔に俺は一つ質問をしてみた。 「なぁ、たまに聞くんだが、上位悪魔とか下位悪魔とかってなんなんだ? 知ってるなら教えてくれ」 「そうだな・・・・・・ルシフ、じゃなくて、魔王に認められた悪魔を上位悪魔と呼んで、その上位悪魔の配下の事を下位悪魔と呼ぶ、って言えば良いか?」 「お前はどっちなんだ?」 「上位悪魔だが部下からは影で馬鹿にされてる」 「なんで?」 「サラと出会ってから何も手がつかなくて、サラが結婚した時は部下に八つ当たりしてしまった」 人間だって同じ事をするだろうな。 片思いしている時は誰だってボーッとして仕事ができなくなるだろうし、好きな人が結婚をすれば知り合いに八つ当たりする。 普通じゃないか? いや、悪魔が普通ってどうなんだ? もしかしたらコイツはベリアルと違って良い悪魔なのかも、 「せっかくサラの夫を何人も殺したのに、無駄骨をおっただけなんて・・・・・・ミカエルは本当に最低だ」 俺は数秒前の自分を殴ってやりたくなった。
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