第12章 イカれた堕天使

2/10
前へ
/145ページ
次へ
不思議な事にアスモデウスは来なくなった。 せめて挨拶くらいして行け、と思わなくもないがアイツは上位悪魔だから忙しいのかもしれない。 だから今日はゆっくりくつろごうと・・・・・・眠ってから、また調べ物をしようと決めていたのに。 「今何て言った?」 「ですから一時間後に開催されるパーティーに是非参加をとベリアル様が仰ってます。 服は用意してありますので、着替えて参加をしてください」 それだけ言ってベリアルの使者らしい悪魔は姿を消して消えていき、俺は大きく溜息をついた。 一時間後にパーティーとかいきなり過ぎだ。 でも、ベリアルの弱みを探るチャンス。 ・・・・・・仕方ないから行ってやろう。 渡されたのはパーティー専用の服だけだ。 シンプルな茶色のインナー。 青色を基調したコート、両側の腕の部分は黒色になっていて白い合皮にダブルプレストがある。 ズボンは縦縞があり灰色を基調した正式的な物。 そして極めつけは右腕にだけかける系のマント。 普段通りの格好が楽なのだがパーティーなら仕方ないかと思い、とりあえず、服一式を着てみた。 「うわっ、似合わねー・・・・・・顔怖すぎだろ」 自分で言って悲しくなってきたな。 俺が鏡に映る自分を見ながら溜息をついていればどこからか「プププッ」と笑い声が聞こえてきた。 「なぁなぁ、似合わないなアイツ」 「ねぇねぇ、似合いませんねあの人間」 ・・・・・・泣き虫悪魔の次は喋るコウモリ? もはや、何でもアリなんだな。 俺の目の前にはパタパタと羽をうるさいくらいに羽ばたかせている金と銀の喋るコウモリが居た。 「なんなんだ、お前ら。 馬鹿にしに来たのか?」 「いやいや、お前を迎えに来たんだ」 「いえいえ、貴方を迎えに来たんですよ」 ・・・・・・なんか腹の立つコウモリだな。 それにしても迎えに来たって、もしかしてさっき言っていたパーティーの事か? 一時間後じゃ、 「うんうん、パーティーは一時間後だが、魔王様も出席する時は早めに行かないといけないんだよ」 「そうそう、魔王様は遅刻が嫌いですからね」 魔王ってルシファーの事か・・・・・・。 何でそんな所に俺が行かなきゃならないんだ。 「まぁまぁ、今回は大変なパーティーだからな」 「はいはい、次の王を誰にするか決めるパーティーなので遅刻は厳禁です。 私の予想では次の魔王はやはりベリアル様だとは思っていますけどね」 「うんうん、確かに良い候補だが俺は今と同じルシファー様だと思うぞ。 カリスマ性があるからな」 だが、ベリアルの弱点を知るチャンスなのに行かないなんて選択肢はない。 でも、正直言って面倒なんだよな・・・・・・こういう堅苦しいのは苦手だ。 溜息をつきながら俺はコウモリに付いて行った。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加