43人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪魔の顔も三度まで──もう、許しませんよ」
今にも気を失ってしまいそうなほどの殺気を放ちながら間合いを詰めてきて、俺はグッと目を瞑る。
『お前の身体に毒を仕込んでやった。 もし、ベリアルが攻撃してきて、お前に怪我をさせれば毒が奴の身体を巡り多分重症を追うだろう・・・・・・だが、お前も危険だ。 それでもやる気なのか?』
マルコと考えた過去最高の作戦。
俺が死んでしまう確率はある。
だが、ベリアルを苦しめる事ができる。
「Good night──黒羽さん」
そして、銃を打ったような音が近くで響いた。
あれ・・・・・・痛みを、感じない?
痛みを感じる前に死んだ?
いや、魔法を使ったとしても感覚があるはず。
そんな事をグルグルと考えていればポタッと頭に何かが落ちた、まるで雨が落ちた時のように。
俺が目を開ければそこには、
「良かっ、た・・・・・・怪我、してませんね・・・・・・?」
胸にポッカリと言葉通り穴の空いているMrの姿があって、俺が声を出す前にMrが地面に倒れた。
Mr・・・・・・待て、どういう、ことだ?
「流石はサツデレなだけありますね、自分の好きな人を私から守るとは! 本当に泣けてきますねぇ」
俺を、守った?
俺の、せいで、怪我を・・・・・・?
震える手を握り締めながら地面に座り込んで顔を見つめていれば、ポタッといつの間にか流れてたらしい涙がMrの頬を撫でるように落ちていった。
「クロ、くん・・・・・・私は、大丈夫、ですから、泣かないでください、私はっ・・・・・・貴方より頑丈ですから・・・・・・このくらいじゃ、死ぬにも死ねません」
そう言って俺の頬に触れたMrの手は手袋越しでも分かるほど冷たくて俺はまた一筋の涙を零した。
最初のコメントを投稿しよう!