第13章 最後の願い

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──過去。 私の顔には生まれつき醜い火傷の痕があった。 どうやら、両親が関係しているらしいが大火事があったとか、事故があったとか、言ってはいたが誰もハッキリ詳しく教えてはくれなかった。 そして私を育ててくれていた親戚や義の両親達は顔にある火傷を見る度に顔をそっと逸らしてた。 誰も口にはしなかったが、きっと私の顔を醜いと思ってるに違いない。 そう思って私は祭りの日に買って貰った狐の面を付けるようになった。 「変な面! 外してみろよ!!」 「だ、だめだって、この面は・・・・・・!」 気弱で控え目な性格だった私はイジメられていて何度も何度も面を剥がされそうになっていた。 いつもは止めてくれるが、あの時は違った。 「うわっ!? な、なんなんだよ、それ!!!」 「あっ・・・・・・」 「──近寄るなよ、化け物!!」 彼に悪気はなかったんだと思う。 思った事をただ言っただけ。 でも幼かった私にトラウマを植え付けるには充分すぎる言葉で、それからしばらくは家にこもってひたすらに自分の醜すぎる顔を見つめていた。 醜い、醜い、醜い、醜い、醜い・・・・・・!!!!! 日を重ねる毎にそう思うようになった。 だから顔を洗う時と寝る時以外は仮面を常に身につける事にして、毎日をだらだらと過ごした。 大人になってからは仮面付きでも採用してくれるバイトを転々としながら、その日暮らしして裕福とは言えない生活をしていたある日の事だった。 ──彼に、クロくんに、出会った。
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