第13章 最後の願い

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──現在。 走馬灯が走るなんてよっほど重症・・・・・・クロくんには大丈夫と言いましたが、これはマズイです。 やはりアスタロトの言う事を聞いて正解でした。 『ベリアルは次期王の座を狙っており、その為に他の王──ルシファー様までも殺して新たな王になろうとしている。 だが、奴一人では強大な力を持つルシファー様に逆らう事など絶対にできない』 これだけなら私も重症を負ってまで止める気などないのですが・・・・・・彼が関係するなら別です。 『だが、お前が好いている。 あの人間はルシファーの側近であるメフィストと契約した者──我らはメトと呼んでいる。 今まで数々のメトが地獄に堕ちたが、全て謎の失踪をしておりルシファー様はずっとベリアルを疑っていたのだ』 『ま、待ってください! ど、どういうことです?』 『今回あの人間がベリアルが治める地獄の街(ヘル・タウン)に送られたのは偶然ではない。 ベリアルがメトを誘拐しているという確固たる証拠を掴む為なのだ』 『つまり・・・・・・クロくんを餌にしたんですか?』 『ああ、だから貴様には悪役になってもらう』 初めてそう言われた時は信じなかった。 でもベリアルが身体目的以外で人間に優しくする所を見て・・・・・・本当なんだと思った。 『メトは普通の人間よりも魔力が高くなり身体も頑丈になる、だが負の感情に侵されやすく悪獣になってしまう確率が跳ね上がるんだ。 そしてベリアルは彼らを使ってルシファー様を脅したんだ』 『脅した?』 『一人の悪獣なら大丈夫だが、何十人、何百人となれば例えルシファー様でも手に負えない』 つまり、だ。 ベリアルは力ではルシファーに勝てないから頭を使って、クロくんのような悪獣になる確率の高いメトを集め脅しかけ・・・・・・王になるつもるしい。 ルシファーは傲慢を司ると言われていますが一番傲慢なのはベリアルだと私は思いますね。 『お前はあの人間が大切なのだろう? なら相手を強引にでもベリアルから引き離すんだ、次期王が決まるパーティーの前に、だぞ。 分かったな?』 ・・・・・・結局、引き離す事はできなかった。
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