第13章 最後の願い

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そのせいでクロくんに辛い思いを・・・・・・。 まさか、このタイミングで記憶が戻るなんて思いませんでしたから油断してしまいました。 それにクロくんの性格上ベリアルが敵だと分かれば立ち向かって行く。 そう、分かってたのに私は彼に嫌われたくなくて今まで何もしなかった。 「悪い、Mr・・・・・・本当に、悪かった。 俺が、」 違う、貴方は何も悪くなんてない。 いつも他人を思いやり、他人の為に力を振るう。 貴方を「悪魔」と呼ぶ人達は貴方のそんな不器用な優しさに気付けていないだけです、本当の貴方を知ればきっと誰も貴方を嫌ったりしないはず。 「・・・・・・シュウ、そろそろ諦めてはいかがです?」 いつの間にか傍まで来ていたベリアルに言われて口を開こうとすれば傷口に手を触れさせてきた。 「私がこのまま体重をかければ傷口が広がり貴方は死んでしまう、ですが私が治癒すれば数日で動く事が出来るようになります。 どちらにします?」 「っ、ベリアル!!」 「はいはい、黒羽さんは後で相手をしますから」 空いている片手でクロくんの頭を掴んで地面へと押し付けたベリアルは、感情のこもってない瞳で彼を見下ろして地面に身体をめり込ませていく。 「や、めろっ・・・・・・!」 私がなんとかベリアルの手を掴めば面倒くさいと言いたげに溜息をついて、視線を向けてくる。 「貴方の事は気に入ってるんです。 なので、お願いですからイライラさせないでください、よっ!」 ぐっと傷口に体重をかけられ悲鳴を上げる。 感じた事の無い激痛が身体中に走り、思わず顔を歪めれば面白そうにベリアルが頬を赤く染めた。 「良い声ですね、惚れ惚れします。 やはり貴方の悲鳴は格別ですね──いっその事、このまま殺すのも良いかもしれません。 最高のENDでしょう?」 殺される。 そう思った時、目にも留まらぬスピードの何かが私の前を通り過ぎて、ベリアルを吹き飛ばした。
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