第13章 最後の願い

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「っ、全く・・・・・・嘘でしょう? このタイミングであの状態になられたら、物凄く困るんですけど」 綺麗な白の羽を羽ばたかせながら宙に浮いているベリアルが血のついた口元をぐいっと手で拭う。 すると、 「姿が見えな・・・・・・っ!?」 ベリアルの背後に人とも動物ともとれないが立っていて、ベリアルを地面へと叩きつけた。 上位悪魔を一発で、だ。 人間であったら死ぬであろう出血量を流しながら立ち上がったベリアルは、私の傷跡をグッと手で押さえると誰も居ない空中に向かって声をあげた。 「黒羽さん、姿を見せなさい! じゃないと、彼を殺してしまいますよ? それでも良いんですか?」 それからしばらくすると何も無かったはずの空間から人の形をした全身真っ黒な生き物が現れた。 あれは・・・・・・もしや、クロくん? 「・・・・・・」 肌も、身体付きも、顔も違う。 でもずっと彼を見つめてきた私には分かる。 ──彼はクロくんだということが。
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