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クロくんが一歩を踏み出す度に地面が割れ、放たれる殺気に空気までもが震えて、消えていく。
・・・・・・まるで殺人鬼を目の前にした気分だ。
「貴方は私の大事な自尊心を傷付けた、なので私も黒羽さんが大事にしている彼を殺す事にします」
・・・・・・この悪魔は、本当に捻くれ者ですね。
自分の自尊心を傷付けられたから私を殺すなんて最悪な死に方ですね。 せめてもう少しマシな、
「・・・・・・コロス!!!!」
「おや、喋れるんですか? だったら貴方は悪獣化してませんねぇ。 まだ理性が少しだけ残ってる」
ベリアルは私の頬に手を滑らせると満足気に笑いながら、輪郭をなぞるようにして触れてくる。
「シュウ、遺言を聞きましょうか?」
「・・・・・・お前には言わない」
「そうですが、残念です」
その声と共に首筋が切れる感覚がした。
そして獣の唸り声のようなものをあげながら傍に近付いてきてベリアルに向かって手を伸ばす。
『俺は喧嘩をしても人殺しはしない、どんな奴にでも友達や家族がいる。 例えそんな存在がいない相手でも、いつか会うかもしれない──だから俺は絶対に人殺しをしない、これは俺の誓いなんだ』
安心してください、クロくん。
貴方にはベリアルを殺させません。
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