第13章 最後の願い

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『悪獣化した時の特徴は全身が真っ黒になる事と話せなくなる事だ。 人間としての機能を全て力に回して、ひたすら暴れ回り──そして灰になる』 アスタロトが前にそんな事を言っていた。 お前もなる可能性があるから気を付けろ、と。 私にはクロくんという光があった。 でも、彼には? 何か光があるのか? 『アンタってなんか危なっかしいな、いつも俺を守るとか言うくせに肝心の所でヘマばっかして』 『す、すみません・・・・・・』 『くっ、ははっ! でも、アンタを見てるとなんか心のモヤモヤが少し晴れるんだ。 俺を助けようとしてくれるその気持ちだけで俺は凄く救われる』 ──私は彼の「光」になれるのでしょうか。 『だから、もし、俺が道理に反するようなことをしそうになったら唯一俺を好きでいてくれているアンタが俺を救ってくれよ。 ストーカーさん?』 私は彼の「光」にはなれない。 そういうのは悔しいですが他の人が良いでしょう。 私は彼の「光」にこそなれないけど、私は彼の内に潜んでいる深く重たい「闇」を全て受け入れて包む事ができる。 どんなクロくんでも愛す自信がある。
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