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一人で歩けば迷いそうなほどに広い屋敷だがコウモリ二人組みは熟知しているらしく、ルンルンとどこか楽しそうな様子で広い廊下を飛んでいる。
何か良い事でもあったんだろうな、と思ってれば金色の方──マモンが上機嫌にアモンに言った。
「なぁなぁ、早くダンタリオン様に会いたいな」
「はいはい、久しぶりに説教してほしいです」
ダンタリオン・・・・・・こいつらの主人なのか?
前もそんな事を言っていた気がする。
「どんな奴なんだ?」
「ふむふむ、一言で言うなら博識だな」
「うんうん、確かに博識です。 他の悪魔達からは嫌な奴だと言われていますが、ダンタリオン様は不器用なだけで凄く優しくて寛容な方なんです」
博識な悪魔なら会ってみたいな。
色々と教えてくれそうだし。
いや、それにしても、
・・・・・・部下にここまで言わせるなんて、そのダンタリオンとかいう悪魔は結構凄い奴なんだな。
ベリアルやルシファーは好かれているというより怖がられている。 強さや権力で押さえ付けているような気がして俺は嫌いだが、仕方ないだろう。
地獄も現代も変わらない。
結局は弱肉強食の世界なんだから。
「ふんふん、ここがベリアル様の居る場所だな」
「くんくん、そうみたいですね。 先程から殺気が漏れてきています、そんなに嫌なのでしょうか」
・・・・・・殺気というより血の臭いがする。
込み上げてくる吐き気を堪えながら扉を開けた。
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