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石造りの部屋──そこは、地獄絵図だった。
まるで巨大な爆発でも起きたかのように壁は吹き飛び、床はすり鉢状に抉れ、四肢の千切れた数え切れないほどの悪魔達が無惨にも転がっていた。
そんな地獄絵図の中、たった、一人、その部屋の中心に飄々とした様子でベリアルは佇んでいる。
首、両腕、両足、に重そうな鎖がつけられているにも関わらずベリアルはどんどん距離を詰める。
そして嫌な笑顔を浮かべながら口を開いた。
「貴方をなめてましたよ、黒羽さん。 貴方は私やシュウを傷付けないと思っていたんですがやはり人間ですね・・・・・・野蛮で醜い生き物です、泥で作られた人形の分際でこの私に手を挙げて無事に済むと思わないことですよ、いつか貴方の大事な物を奪いに行きますからね──死んでも貴方に復讐しますから」
言葉の節々から感じ取れるのは、俺への酷い嫌悪感ではなく、人間という種族への強い嫌悪感。
「私はシュウが好きだった、なのに貴方と出会ってからの彼は希望に満ち溢れていた。 私より貴方を優先するようになり、私より貴方に心酔して、挙句の果てには私を邪魔者扱い・・・・・・それでも彼を守ろうとしていたのに貴方が彼を殺したせいで!」
「・・・・・・ベリアル」
「友達、だったのに。 何で殺したんですか!?」
真っ赤な瞳に涙を溜めながらベリアルが叫ぶ。
思わず目を見開いていれば、
「くくくくっ・・・・・・なーんて! 対して利用価値もなかった人間一人が死んだ所で私は痛くも痒くもありませんねぇ。 黒羽さんが死んだら少し悲しむかもしれませんが、シュウは貴方に執着しているだけのつまらない人間ですよ、貴方を手に入れる為に利用しようと思って生かしてましたが私の邪魔しかしませんでしたし早めに殺すべきでした」
「っ、ベリアル!」
「おや、また手をあげるんですか? 貴方がカッとなり暴力的になったせいで何人が犠牲になったか分かります? 本当に黒羽さんは恥知らずですね」
・・・・・・こいつ、反省の「は」もない!
楽しそうに笑い続けるベリアルを睨み付けてれば急にベリアルが地面に膝をつき、俺を睨んだ。
いや、睨んでいるのは俺の後ろ?
恐る恐る振り返ればそこには、
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