第2章 カラスと天使

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唇に触れる柔らかな感触。 頬に当てられる温かい温もり。 ここはどこだ?自分が今どこで、何をしてるかも思い出せない。いや感覚的に俺はベッドに居る。 ふと、目の前の何かに違和感を感じた。 目を開けた俺はまず視界に映りこんだ物に驚いてしまった。 カラス?何でカラスが目の前に?? パニックになるものの、冷静に、落ち着いて今の状態を頭に入れていかないといけないと思い、ひとまず現状を把握するために身動ぎをしてみる。 すると、 「おや、起きましたか?」 喋った?カラスが?? いや、違う。これはカラスの仮面を被った男? なら、さっきまで俺の唇に触れていた柔らかくて温かい感触は?少なくとも仮面の感触ではない。 仮面ならもう少し硬いはず。だが男の両手は俺の頬に添えられてた、手袋もつけていたしな。 なら残るは・・・・・・。 俺は仮面を被った男を確認するため、その視界にはいり、そして──左フックを食らわせた。 「ギャンッ!!!」 「お、お前誰だ!何で俺にキスしてた!?変態ならぶっ殺すぞ!!いや、変態じゃなくても殺す!」 俺が大声を出すとベッドから落ちていった仮面の男はしくしくと泣き真似をしながら言った。 「ご、誤解しないでくださいよ!? 私は、ただお酒を飲んで潰れてた貴方を介抱していただけで・・・・・・」 介抱?コイツが俺を? そもそも何がどうなって介抱される事態になっているんだ?一気に頭が真っ白になってしまう。 「う、ぐすん・・・・・・ご迷惑、でしたか?」 と、わざとらしく泣く男の声と涙で滲んだ目に、俺はなぜか何も言えなくなってしまい、とりあえず俺はこの変な仮面男の話を聞く事にした。
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