43人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
それから三日。
Mr.は毎夜(まぁ、夜じゃない時もあるが)俺の所に来ては色々な事を教えてくれる。
地獄でのルールを特に細かく教えてくれた。
だから感謝しているのだがなんでここまで優しくしてくれるのか分からない。あの様子から考えて俺の知り合い?みたいだが、残念な事に俺の記憶にない。あんなに特徴的なのに見た目なのに、だ。
そしてMr.は来る度に何かしらしてくる。
手を握ってきたり、顔を触ってきたり、頬に軽いキスをせがんできたり・・・・・・まるで俺が存在しているか確認ように、って、少し考えすぎだよな。
普通は出会って三日の奴にぺたぺたと触られたりするのは嫌がられるんだろうが、俺はあまりそこまで嫌だと思わなかった。迷惑だとは思うが。
「食べないのか?」
ふと、一緒に昼食を食べていた悪魔の一人が俺に問い掛けてきた。
「あぁ、食べるぞ。悪いな、考え事をしていた」
その一言で俺は思考の海から意識が戻ってきて、少しだけ空腹を覚えた。
「あぁ、そうか。何を考えていた?気になるな」
「最近会った変な仮面男の事だ」
「どんな仮面だ!?」
悪魔は焦った様子で聞いてくる。
「カ、カラスの仮面だが」
「お前が捕まった原因になった悪魔殺し。実はあの事件が・・・・・・悪魔殺しが頻繁に起きている、そして犯人はカラスの仮面をつけているらしいんだ」
俺はその事について正直に聞いた。
するとその仮面は、俺が今まで見ていた『Mr.マスク』の容姿と瓜二つだったのだ。
ヘンテコなカラスの仮面、ツギハギだらけのシルクハット、赤い燕尾服・・・・・・全部が同じだった。
俺はその事に驚愕して、言葉を失ってしまう。
「事件自体は、かなり前からあったんだが最近は頻繁になってきている、だから戸締り気を付けろ」
「あ、ああ、そうする」
俺は笑みを浮かべながら言ったが実際の所、怖くてたまらなかった。考えてもみてくれ。
俺は悪魔殺しの犯人かもしれない男と三日間も会ってたんだ、しかもベタベタとスキンシップをされながら。
だが、そのお陰で『Mr.マスク』という謎の人物の事が少し分かった。
もし何の情報も無かったら、俺はあの『Mr.マスク』の正体について深く考えることをしなかっただろう。
優しくて、子供っぽい、大人だと、そう思うくらいで怪しいだなんて思わないはずだ。
でも、俺はMr.が犯人だとあまり信じたくない。
『クロくん!可愛いですよ、天使です!もう一度キスさせてください!!お金は払いますから!』
あんな風に子供っぽく無邪気にはしゃぐ犯罪者が居るのだろうか?同じ仮面なだけかもしれない。
そう思い、俺はMr.と一度会ってみることにした。
最初のコメントを投稿しよう!