第3章 狂気の仮面

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悪魔達に道を聞きながらなんとか赤い川(レッドリバー)まで辿り着いたが・・・・・・やはり現場は片付けられてしまっていて、俺は僅かに肩を落とした。 まあ、仕方ない。そう思い、とりあえず川の近くに近寄ってみれば背後から気配を感じた。 俺が咄嗟に振り返り、背後へ振り向けばそこには、俺にナイフを突きつけてニヤニヤと口元を三日月に曲げて笑っている男が居た。 地獄で初めて見る──人間だ。 「お前さ、最近噂の奴だろ?確か悪魔達を従わせる事ができるって」 「・・・・・・そんな事できないぞ」 「そんな嘘信じねぇよ、ほらさっさと悪魔達を説得して俺をこんな所からだしやがれ!」 そう怒鳴りながら、俺の頬を思い切りぶん殴った男は、地面に手をついて血を流す俺の首根っこを掴んだ。 そして、俺を地面に叩きつけて腹の立つ声で『ウハハハッ』と笑う。 男の浮かべる笑顔は、人間のそれとは違い、酷く気味の悪い顔をしているように俺には見えた。 そして、その男は俺の顔を乱暴に掴むと自分の方に向かせるとニヤニヤしながら言う。 「それにしてもお前・・・・・・結構イケメンじゃねぇか、現世に連れて帰って売り飛ばせば軽く何十万にはなるだろ」 俺を見下し、嘲りながら笑っていた男のそんな言葉に、俺は何も返さなかった。 言っても無駄だと脳が判断した、抵抗してもナイフを持った奴には勝てない。それに大人しくしていれば勝機があるかもしれないからな。 そう判断して俺は黙って首根っこを掴む男を見た。そして次の瞬間、俺は何の前触れもなく地面に倒れた。 「なに睨んでんだよ、ガキが!」 ああ、睨んでるように見えたのか?まぁ、俺は生まれつき目付きが悪いからな・・・・・・仕方ないだろう。 そして、男はその態度が癇に障ったのか、俺を両手で押さえつけると顔を持ち上げて俺の方を見つめる。 「顔は良いが生意気ときた、どこぞのマゾに売り飛ばすしかないな」 俺に聞こえるようにそう言いながら腹部を蹴っ飛ばしてくる。 腹を押さえると痛みで体がビクッ、と震えてしまい、口からは生温い液体が零れていくのが分かった。 それからも何度も殴られた、殴られて、蹴られて、俺は段々と自分の置かれた環境に慣れていき、次第に痛みなんてどうでもよくなっていった。 まぁ、こんなもんか・・・・・・生きていた頃はこれが毎日だったんだ、大丈夫。 そう思っていれば男の背後に黒い影が見えた。
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