第3章 狂気の仮面

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目を覚ますと天使が居た。 見覚えのある金色の髪、ルビーのように美しい赤色の瞳。ついに天国に行く事が出来たのか? それにしても、この天使、どこかで見た事あるぞ?俺は目をしっかりと開けてこちらを見る天使を見つめ返す。 「・・・・・・い、可愛い、可愛い、抱き締めたい」 天使は頬を赤く染めながら俺の、頬、首、胸、に徐々に手を這わせていって腰に到達した所で俺はその天使が誰かを思い出した。 「やめろ、変態悪魔ベリアル!」 そんな俺の叫びにもベリアルは笑って、 「相変わらず私に向かって素晴らしい口の利き方をしますね、少しお仕置きが必要でしょうか?」 そう言ってベリアルは俺の方へと体を寄せてきたかと思えば、今度は胸に抱きついてきた。 本気で気持ち悪い、なんで俺が男(しかもイケメン)にこんな事をされなきゃならないんだ!? 悪魔というのはそっち系ばかりなのか? まぁ、男も女も悪魔には関係ないのか。 俺はそんな事を思いながらも、ベリアルの腕から抜け出そうと必死にもがくが中々抜け出せない。 するとベリアルは俺の手を掴み、離さず、そして体を離すと、少し顔を歪ませて笑い出した。 「ふふふっ。黒羽さん、本気で私とワンナイトラブとかいかがです?天国に連れていきますから」 そう言って、ベリアルはさらに唇を寄せてくる。 いや、気持ち悪いって!本当に!! 「俺は男も女にもロクな思い出がないんだ、だからそういう事はしない。それと死んだとはいえ俺は未成年だぞ、手を出したら青少年保護育成条例を違反する事になる。法律くらい守ったらどうだ?」 「悪魔がそんなのを守るわけ・・・・・・ああそう言えば着替えさせてる時にも身体中に痣や傷跡がありましたが平気なんですか?」 「ああ、初めは痛かったんだが最近は慣れてきた」 って、今この悪魔なんていった? 着替えさせてる時って、こいつ!勝手に俺を着替えさせたのか!?しかも傷跡まで見たのか!? 俺がジト目で見ると、ベリアルは、怖いくらいの満面の笑みを向けてくる。 「誤魔化されないぞ、変態悪魔!」 俺はベリアルを指差しながら足で蹴り飛ばした。 するとベリアルはそれさえも楽しそうに笑う。 大きく溜息をついてから俺はベリアルをもう一度蹴り飛ばした。
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