第3章 狂気の仮面

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俺の両親は凄く優しかった。 短気で怒りっぽい俺とは正反対の優しく穏やかな二人で、妹も両親のように優しくて元気な可愛い子だった。 だからというべきか俺は喧嘩する度に両親や妹と比べられて、その度に三人に酷い事を言ってしまい憂さ晴らしに喧嘩をする事もあった。 それでも三人はいつもそんな俺を許してくれて、俺はその度に自分自身が嫌になって、俺はいつからか喧嘩をしなくなった。 正確に言うなら反撃をしなくなった。 殴り返したくなったら三人の顔を思い浮かべて止める。それを繰り返していくうちに俺の身体はボロボロになっていって、ついには両親にバレて酷く怒られたんだ。 「なるほど、だから身体中に痣や縫われたような傷があるんですね。納得です」 「おい、話してやったんだから離れろ」 そうやって睨みつけるとベリアルは降参のポーズをしながら離れていく。 「もう一つ気になるのですが・・・・・・貴方が怒る理由は近くにいる人の事を言われた時だけですよね」 言われてみれば、そうかもしれない。 あの頃はまだ友達がいたから友達を悪く言われて喧嘩した事もあったな。 「自分の事を言われて怒らないのはなぜです?普通は馬鹿にされたら怒るでしょう?」 「俺は・・・・・・良いんだ。元からそんな大層な人間じゃないからな、罵られて当然だろう」 その俺の言葉にベリアルはわけが分からない、という顔で首を傾げる。 「今まで色んな人間を見てきましたが貴方のようなタイプは初めてです」 「俺もお前みたいな変態悪魔は初めてだ」 「あっ、酷いですよ。私がせっかく気にしてあげたのにそうやって茶化すなんて」 「本当の事を言ったまでだ」 俺がそう言って笑えばベリアルは探られたくない俺の心情を読み取ったのかそれ以上追求はしなかった。 そして、そんなやり取りをしているとふとある事を思い出して俺は聞いてみた。 「ベリアル・・・・・・お前は悪魔殺しの事などをなにか知っているのか?ほら、性格とか?」 突然ベリアルは顔を引き攣らせたので、そんな事を聞いて、大丈夫なのかと不安が胸の中を蝕む。 「これは機密事項なんですが貴方は可愛いですし、私の将来の恋人なので話してさしあげますよ」 絶対に恋人なんかならねぇよ! そう言いたいのを堪えながら俺は耳を傾けた。
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