第3章 狂気の仮面

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分かった事を整理しよう。 ①犯人の見た目は、カラスの仮面、赤い燕尾服(えんびふく)、そして黒いマントという奇抜な見た目。 ②犯人は昼夜問わずに行動していたらしいが、最近はなぜか昼間に悪魔を殺すようになったらしい。 ③犯人は悪魔を殺した後はその傍に必ず五センチきっかりのカラスの羽を置いていくらしい。 ④被害者達はいずれも酷く殴られており、特に頭や顔を中心にやられており選別不可能な時もある。 ⑤基本的な事だが悪魔は殺されても復活する。だが悪魔殺しの被害者達は魂ごと消滅させてあるので、天界の道具か、なんらかの特殊な物を使っていると思われる。 ――以上だ。 これだけ聞けば、かなり凶悪な事件であることがすぐに分かるだろう。 そして、Mr.マスクが犯人に近いというのも容易に想像できる。 「これは私の個人的意見ですが、犯人は負の感情に侵されている病人ではないかと思っているんですよ」 「負の感情・・・・・・病人・・・・・・?」 ベリアルはこほんと軽く咳払いをすると静かに口を開いた。 「失望、恐怖、絶望、醜悪、孤独、孤立、軽蔑、嫌悪、不安、不信、嫉妬、無力・・・・・・これらの負の感情に侵され続けた人間や悪魔は些細な事がきっかけで気持ちが爆発するんです。そしてそれが続くと最終的に、悪しき獣と書いて『悪獣(アジュウ)』・・・・・・そういう名前の化け物になってしまうんですよ」 「どうなるんだ、悪獣(アジュウ)になったら」 「死ぬまで暴れ回ります」 ベリアルが即答した内容に、俺はしばし思考が停止した。 そして考える間もなくベリアルは口を動かし、 「私や魔王などの上位の悪魔は負の感情を食べ物にする事ができますが、下位悪魔や人間などは負の感情を蓄積しますので悪獣(アジュウ)になる確率が非常に高いんですよ」 「つまり、この悪魔殺しの犯人は悪獣(アジュウ)になる一歩手間のうつ状態って事なのか?」 「いえ、殺し方から考えても、犯人はまだそこまで悪意を蓄積してません。何かしらやりたい事や、一緒に居たい人を見つけているからこそ悪魔殺しをして鬱憤を晴らしているのでは、と思っています」 もしMr.が犯人で・・・・・・もし、Mr.が俺との会話に楽しみを感じていたとしたら。俺はMr.を悪獣(アジュウ)にしてしまう引き金を持っているという事か? 俺の言動一つでMr.は悪獣(アジュウ)とやらになって戻ってこなくなる、だなんて責任重すぎだろ。 「ですが、安心してください。もし悪獣(アジュウ)になったとしても私が捕まえてさしあげますから」 あ、今ほんの少しカッコ良く見えた気がする。 「そしたら私としてくださいね?」 ・・・・・・やっぱり気のせいだった。
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