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一方、魔の森では・・・・・・。
鬱蒼とした木々が生い茂り、視界を遮る。
そんな森の上空に一人の男が浮かんでいた。
「久しぶりにクロくんに会える、久しぶりに可愛いクロくんと話せる、やっとクロくんを観察出来る」
頬を赤くしながらブツブツと呟いた男は手で目を覆うと「クロくん・・・・・・」と懐かしそうな声で呟き口角を上げる。 そしてもう一度名前を呼んだ。
目を覆っていた手の隙間から涙が落ちる。
「・・・・・・やっと、彼を・・・・・・私の物に・・・・・・!!」
嬉しそうに泣き笑いをするその姿は傍から見れば完璧にイカれた人間にしか見えないだろう。
男は目を覆っていた手を降ろすと指を鳴らす。
すると男の顔にカラスの仮面がはめられた。
「神は私を見捨てた、でも彼は・・・・・・彼だけは私を見捨てずに闇から救い出してくれた、恩人です」
──だから手出しをするな。
これ以上ないほどに冷たい声色で、全身に殺気を放ちながらそう言った男は飛んでいたコウモリを睨み付けた。 コウモリは気味悪い笑い声で、
「ギシシッ、ベリアルサマはオマエをオウエンしているらしいゾ! セイゼイ、ガンバレとのコトだ!」
「チッ・・・・・・あの変態悪魔」
ぐしゃっ、とやけに生々しい音を立てて男の手の中で潰れたコウモリは最後まで笑っていた。
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