第3章 狂気の仮面

8/10

43人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
それから数日。 なんとか無事に地獄の街(ヘル・タウン)に帰る事が出来て、悪魔達がパーティをすると言い出したが、今日は疲れたから先に休ませてもらうことにした。 俺はいつもどおり真っ白なベッドに横になって、ごろごろしていた。 すると今度は、誰かがやって来る気配がした。 そいつの気配には気づいたが寝返りを打ってから眠ったふりをしていた。しかし、どうやら駄目だったらしく布団が勢い良くめくられる。 「クロくん、起きているのは知ってますよ」 その聞き覚えのある声と同じタイミングで、俺の腕は少し強めに掴まれて、無理やり起こされた。 「Mr.・・・・・・どうしてここに?」 俺は腕を掴む手にビクッと身体を震わせてからゆっくり目を開けてみる。するとそこには、いつもは優しい雰囲気を醸し出しているMr.が居た。 その顔に俺の動揺ぶりがそのまま見て取れたのか、Mrは少しだけ俺の手首を掴んでいる手から力を抜いた。 「・・・・・・何日もっ、どこに行ってたんですか」 彼は震える声で話しかけてくる。 「知り合いの家に泊まってたんです」 流石に上位悪魔であるベリアルの屋敷に居たとはいえず、そう言えばMr.はそっと俺を抱き締めてきた。 俺もそれに応えるようにそっと彼を抱きしめる。しばらくそうしていたが、Mrは俺の肩をポンポンと撫でて、安心したように頷いた。 「すみません、取り乱してしまいました」 「いや、大丈夫だ」 彼は俺が笑みを見せるのを確認すると、嬉しそうに目を細めると思い出したように「プレゼントがあるんです」と言った。 Mr.はそっと俺の手を握るとそれはそれは楽しそうに喉の奥で笑った。 するとMrの手から金色のまぶしい光が発生して辺り一面を覆う。 それと共に俺は今まで感じた事のない暖かさと柔らかいものに包まれて、少し目眩がするぐらい安心した。 「目を開けてください」 どうやら、いつの間にか閉じてしまっていたらしく俺が静かに目を開ければ、 「うわっ!?」 手の中に綺麗な花束があった。 俺が思わず驚いて視線を上げればMr.は花束を俺に渡し、次は胸ポケットから小さな白い箱を渡してくる。 箱を開けるとそこにはカラスのアクセサリーがつけられたネックレスが入っていた。 「このネックレスは貴方を守ってくれます、全ての嫌なものから貴方を遠ざけてくれるお守りです」 それを見て俺は気付けば涙を流していた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加