第3章 狂気の仮面

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Mr.は自分が何を言ってるか分かってるのか? 目の前に居るMr.は、それがどうかしましたか、と言いたげに首を傾げていて俺は恐怖を覚えた。 「生きていた頃、貴方はミステリー系の本を読んでいたでしょう?だから誰が犯人か謎解きをしてもらおうと思って、黒い羽根を置いて待ってたんですが・・・・・・なかなか、良かったと思いません?」 Mr.は悪びれもなくそう言うと、ポケットから黒い羽根を二枚出して俺に渡してくる。 現場に羽根を置いたのは俺に謎解きさせる為? 「楽しかったでしょう?」 Mr.はそう言うと俺の方を見て笑った。確かに俺はミステリー小説などが好きだったから読んでた。 そして俺が読んでいた小説の中にカラスの仮面をつけた奇人が次々と殺人を犯す事件があって俺はそれを特に気に入って読んでいたんだ。 犯人はとても奇抜な格好をしていて、昼夜問わず行動する、そして現場に黒い羽根を置いていく。 おい、まさか、Mr.は・・・・・・俺が読んでいた、ミステリー小説を再現してるのか? 「主人公に追い詰められた犯人は主人公を道連れに死んでいく──確かそういう物語でしたよね」 Mr.はそう言いながら俺の方を見た。 「ねぇ、クロくん。私と勝負しませんか?」 「勝負?」 「私が死ぬ寸前まで追い詰める出来たらクロくんの勝ちなんです、私を煮るなり焼くなり好きにしてください。そして私を殺す事が出来なかった時は私の勝ち──という事になります。クロくんは全て忘れて私と一緒に永久に過ごす、どうですか?」 断らなければならない。 そんなゲームみたいな感覚でやるべきじゃない、ともう一人の俺が叫ぶ。 だが断ればベリアルの言っていた悪獣(アジュウ)になるかもしれない、ともう一人の違う俺が叫ぶ。 それにMr.にとってはリスクが大きすぎるだろ。 負ければ捕まるor死ぬ。 勝っても俺と一緒に居れるだけ。 「少し違いますね。私が勝ったら貴方をします」 独り占め?どういう事だ?? 「二度とベリアルには会わせません」 なんで会った事を知ってるんだ。 それにこの不機嫌そうな言い方・・・・・・もしかして、ベリアルの知り合いなのか?あの変態の?? 類は類を呼ぶ、って本当なんだな。 「さぁ、勝負に乗りますか?」 そう言ってMr.は手を差し出してくる。 俺はMr.の誘いに乗るべきか迷ったが、そっと手を伸ばしてMr.の手を取って言った。 「・・・・・・分かった、勝負に乗ろう」
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