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俺はベリアルに話した。
悪魔殺しをしているのがMr.だということ、そのMr.と俺が知り合いだということ、そして・・・・・・昨日勝負に乗ったこと。
すると、ベリアルは楽しそうな顔をした。悪魔殺しのMr.と、知り合いだと分かりかなり驚いた様子だったが、すぐに状況を飲み込んだらしい。
「ふふふっ、貴方があのMr.と知り合いだとは思いませんでしたね。いや、初めて会った時に匂いがしてたのでまさかとは思っていたんですけど」
「匂い?香水とかか?」
「それもありますが、一番は魔力です」
魔力?小説などで良くあるアレか?
「黒羽さん、Mr.とキスされたでしょう?」
「あ、ああ。まぁ、一回だけ」
「魔力を持った者とキスすると香水より強い匂いが残る。だから嫉妬深い悪魔などが恋人にこうやって匂いを残す事がある。いわばマーキングですね」
確かにMr.は少し変わった所があるが恋人でもない俺にマーキングなんて事するのか?
「話が逸れました。つまり貴方はMr.の悪魔殺しを止めたいんですね?殺す以外の方法で」
「まぁ、良い人だからな」
「・・・・・・なら事件を先回りしましょう」
起きてもないのにどうやって先回りするんだ、と思っていればベリアルはパチンパチンと二回指を鳴らす。すると本が消えてスクリーンが出てきた。
画面には小説のページが表示されていてベリアルは慣れたようにページを捲りながら言った。
「この小説で起きてる一件目の被害者は『主人公の同級生の門番』です。貴方は地獄に来た時門番の殺害容疑で等活地獄行きになる所でしたよね?」
「たまたまだろ、門番なんていくらでも・・・・・・」
「門番を殺した理由は『主人公を不審者だと勘違いして怒鳴りつけ、追い出そうとした』から、と」
ああ、確か俺が地獄の街に入ろうとしていた時、門番が俺を不審者だと勘違いして怒鳴った。
そしてその時、門番の首が綺麗に切れたんだ。
「それから八件ほど起きましたがどれもこの小説に書いてある通りです。Mr.はこの小説通りに事件を起こしているとみて間違いないと思いますよ?」
もし、次があるとしたら・・・・・・?
この小説通りなら、Mr.は今すぐに十件目の事件を引き起こすはずだ。待て、十件目の事件?
「ベリアル、この辺に子供は居るか?化け物だとか呼ばれている孤児で、十歳の小さな女の子だ」
「確かアリスという名前の半悪魔が居ましたね」
「半悪魔?」
「悪魔と人間との間に出来た珍しい子供の事をそういう風に呼ぶんですよ。アリスさんは人間の歳で言えば十歳・・・・・・そして悪魔達からは化け物だと薄汚い人間との子供だと言われ嫌われています」
「っ、その子が次の標的だ!今すぐそのアリスとかいう子の所に連れて行ってくれ、ベリアル!!」
「・・・・・・ふふっ、分かりました」
頼む、間に合ってくれよ!
俺はそう願いを込めてベリアルの手を握った。
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