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だが冷たいと思ったのが嘘のように、鋭い痛みと感じた事がないほどの熱さに襲われて思わず声にならない声が漏れる。
「ク、クロ、くん・・・・・・?」
背後から、Mr.の震えている声がした。
まだ何が起こったのか分かってない少女の無事を確認して、俺は脇腹を押さえながら振り向く。
「な、何でここに・・・・・・予定ではまだ遅くなるはずなのに、なんで、もうここに来るんですか?」
今のMr.の言葉から察するに、予定よりも大分早く来てしまったらしい
俺もまさか刺されるタイミングで来てしまうとは思っていなかったから、心の準備という物が全くできてなかった。いや、刺される準備って何だ?
しかし、今更後悔しても遅いので、とりあえず痛みに耐えながら立ち上がり、Mr.を睨みつける。
「Mr.・・・・・・この子は、まだ、子供だろ」
Mr.は俺の言葉に対して、少しばかり迷った後で、俺の方に近付いてくる。
そして俺に手を伸ばした時、
「彼には触れさせませんよ」
凛とした声でそう言うとベリアルは、俺に伸ばされていたMr.の手を掴んだ。
その瞬間──辺りに冷気が漂う。
「・・・・・・手を離せ、変態悪魔」
うわっ、凄い殺気だな。
というかMr.ってこんなに声が低かったか?知っているMr.の声はもう少し高い気がするんだが。
「相変わらずのようで何よりですが黒羽さんの前でそんな悪態ついて良いんですか?嫌われますよ?」
Mr.が悪態をついているのを見てベリアルは呆れたように肩をすくめる。しかしベリアルに対する酷い態度とは裏腹にMr.は俺の方を見て言った。
「クロくん、この変態になにかされたら本当にいつでも言ってくださいね?助けに行きますから」
「あはっ、笑わせないでくださいよ。変態は貴方の方でしょう?寝ている黒羽さんにキスなんかして・・・・・・しかもマーキングまでするなんて嫉妬深いにもほどがあります、むしろ気持ち悪いです」
「相変わらず妄想が激しいな、ベリアル。そろそろ一度死んだらどうだ?そして二度と出て来るな」
Mr.って怒ったら怖いタイプだ。
どれだけ俺に甘くて優しい言葉をかけていたのか分かる会話だ・・・・・・って、痛っ。
「ああ、怖い怖い、貴方もはやヤンデレの域を通り越してサツデレじゃないですか。自覚あります?」
「は?変な言葉を作るな」
「黒羽さんには『デレ』、それ以外の人達には『殺意』しか向けてないでしょう?だからそれを合わせてサツデレですよ、ヤンデレの進化版」
こいつ、Mr.が怒るって分かっていながら煽ってる。
・・・・・・というか、やっぱり二人知り合いなのか?
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