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・・・・・・結論を言うと怪我は治った。
変態悪魔ベリアルに治してもらったのは良いが、その治療方法は俺に絶望を与えてくるものだ。
出来れば二度と経験したくない。
やけに嬉しそうにニヤニヤとしながら隣を歩いているベリアルに溜息を零しながら、俺は前回来た時も見た馬鹿みたいに広い廊下を見回した。
「この屋敷ってどうやって作ったんだ?」
「どう、と言われても・・・・・・ただ単に頭の中で家をイメージして、パチンと指を鳴らしただけです」
「聞いた俺が馬鹿だった」
こんなもんをそんな簡単に作れるなんて悪魔っていうのは魔法使いみたいだな。
俺がそんなことを考えながら廊下を歩いていれば背後から気配を感じて、振り返ろうとすれば身体から力が抜けていき地面に跪く。
「ベリアル、説明しろ。どうして、この屋敷に人と半悪魔の子供が居る?」
不機嫌さが滲み出ている声色。
少しでも動けば殺すぞと言わんばかりの殺気に額から冷や汗が流れる。
「ベル、そんなに怒ったら老けますよ」
「俺の質問に答えろ。自分の口で王に報告したいのなら俺は構わないんだぞ、ベリアル」
背後に居るベリアルが珍しく面倒くさそうに溜息をついて、俺の腕を引いて立ち上がらせてきた。
殺気から一気に解放されたからなのか軽い目眩を感じてフラつく頭を抱える。
そんな俺の肩を撫でながらベリアルが眉を顰め、ベルと呼んでいた奴の方に目を向けた。
「彼は私のお気に入りなんです、例えベルだとしても不用意に傷付けるのは許しませんよ」
「お前のお気に入りはいつも悲惨な死に方をする事で有名だが、そいつも殺すんだろうな?」
「ベル・・・・・・」
「か弱い人間などと居たせいで気が緩んでるんじゃないのか、次期王ベリアル?」
そう言ってベルと呼ばれていた悪魔はベリアルの肩を叩いて歩いて行く。
ベリアルと話してた悪魔は灰色のローブのような物を羽織っていて顔は見えなかったが、俺が今日まで会ってきたどの悪魔よりも悪魔らしかった。
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