第5章 向けられる敵意

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「アリスか?入って来ても良いぞ」 扉に背を向けてそう返せば扉が開く音が聞こえてそれと同時に「うんっ!?」というアリスにしては低めの驚いたような声が聞こえてきて振り返る。 するとそこには、両手を目の前で彷徨わせているMr.の姿があり思わず溜息が漏れてしまった。 「はあ・・・・・・びっくりさせるな、Mr.」 「こっちのセリフですよ!な、ななな、何で上半身裸なんですか!?変態、変人、破廉恥イケメン!」 「男の裸なんて見た事あるだろうが、今更照れてる方が変態だ。それに変人はギリギリ分かるんだが破廉恥イケメンって何だ、意味が分からない」 わざわざシャツを着るのも面倒だったので適当にパーカーだけ羽織れば「色っぽい・・・・・・!」などと変態発言をしてきたので枕を投げ付けてやった。 枕に殺傷能力はないはずだがMr.は枕が顔面に直撃するなり黙り込んでしまい、近付いてみれば、 案の定、腰を掴まれ、捕まえられてしまう。 「クロくん、台本は変更です」 そして耳元でMr.はそう囁く。 やけに真剣味を帯びたその声色に身体が強ばっていくのを感じていればMr.は床にそっと跪いた。 「──私の仲間になりませんか?」 まるで恋人にプロポーズする時のような体制で。 まるで恋人に愛を囁く時のような甘い声で。 「私と一緒に世界を壊しましょう、クロくん」 Mr.は俺にとんでもない誘いをかけてきた。
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