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Mr.は俺の友達だ。
だからMr.が望むならこの地獄だって捨てて良いとここに来たばかりの俺なら思っていたはずだ。
でも今は、変態だが優しいベリアル、人のように面白く優しい悪魔達、そして俺と似た境遇の持ち主であるアリス。三つもの大事なものがある。
Mr.はきっとそれらが俺を傷付けるものだと思えば躊躇なく彼らを全員殺そうとするはずだ。
俺は、それだけは、耐えられない。
「悪い・・・・・・Mr.、俺は、仲間になれない」
俺を見上げていたMr.の瞳が揺れる。
「なぜです?私なら貴方を守れます、私なら貴方を傷付けません、私なら貴方を幸せにできます」
「Mr.・・・・・・」
「貴方がどれだけ周りに優しくしても周りの奴らはすぐに裏切るんですよ!?そしてっ、貴方はまた傷付いてしまう。そんな姿、見たくありません」
「Mr.は優しいな、俺より俺に優しい。でも、Mr.の考えは間違っていると思う。だから止めてくれ」
「クロくん・・・・・・なにを、言ってるんですか?」
ぶわっと辺りの空気が変わった。
いつものような優しい空気が掻き消され、まるでベリアルに向ける時のような空気になった。
「前の貴方は私の考えに賛同してくれた、前の貴方なら私を理解してくれた、前の貴方は他の人より私を優先してくれた。なのに今はまるで別人だ」
「Mr.・・・・・・っ!?」
いつの間にかMr.の手が目と鼻の先に近付く。
「──貴方はクロくんじゃない」
死ぬ、と本能的に思った。
もう死んでいるとか、どうやって死ぬのか、とか色々と思ったが何よりも先に死ぬと思ったのだ。
「黒羽さん、彼はもう『敵』ですよ」
耳元でそんな声が聞こえてきたかと思えば身体が引っ張られるのを感じて、それと同時にもの凄い風圧と共に、感じた事の無い殺気を肌で感じた。
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